スキマ時間を、お金時間へ

副業収入が本業を超えたら会社を辞めるべき?会社を辞めてもいい3つの条件

  • URLをコピーしました!

副業の収入が本業の給与を上回るという状況は、多くの人にとって喜ばしい反面、次のステップに進むべきかどうか悩ましい岐路となります。「このまま会社に残るべきか」「思い切って独立すべきか」という選択を迫られるとき、何を基準に判断すればよいのでしょうか。

近年は副業・兼業が一般的になり、本業の収入を超えるケースも珍しくなくなってきました。しかし、単純に収入の多寡だけで判断すると、思わぬ落とし穴にはまる可能性もあります。社会保険や税金の問題、将来的な安定性など、様々な要素を考慮する必要があるのです。

この記事では、副業収入が本業を超えた場合の判断ポイントを整理し、あなたにとって最適な選択肢を見つけるための道筋をお伝えします。

目次

副業収入が本業を超えるとはどういう状態か

「副業収入が本業を超える」というのは、単純に副業の収入が会社からもらう給与よりも多くなった状態を指します。しかし、この状況をより正確に理解するためには、いくつかの観点から考える必要があります。

一時的に超える場合と安定的に超える場合の違い

副業収入が本業を超える状況には、大きく分けて二つのパターンがあります。

一つ目は「一時的に超える場合」です。たとえば、副業で取り組んでいるプロジェクトが一時的に好調で、特定の月だけ高収入を得たというケースです。このような場合、その収入が継続するとは限りません。一度きりの大型案件や季節的な需要の高まりなど、様々な要因で一時的に収入が増えることはあります。

例えば、ウェブデザイナーとして副業をしている方が、大きな企業サイトのリニューアル案件を受注して、その月だけ通常の3倍の収入を得たとしましょう。しかし、翌月以降も同様の案件が続く保証はありません。

二つ目は「安定的に超える場合」です。これは複数月にわたって継続的に副業収入が本業の給与を上回っている状態を指します。たとえば、半年以上にわたって毎月安定して副業の方が収入が多い場合などが該当します。

例えば、プログラミングのスキルを活かして副業でアプリ開発をしている方が、複数の顧客から定期的に案件を受注し、安定した収入源を確立している場合などです。このような状況では、副業が本業になりうる可能性を真剣に検討する価値があります。

収入だけでなく将来性も考慮すべき理由

副業と本業を比較する際、単純な収入の多寡だけでなく、将来性も重要な判断材料となります。

まず考えるべきは、その副業の市場性や成長性です。今は好調でも、将来的に需要が減少する可能性はないでしょうか。例えば、特定の技術に依存した副業であれば、その技術が陳腐化するリスクも考慮する必要があります。

次に、副業のスケーラビリティ(拡大可能性)も重要です。現在の副業は、あなた個人の時間と労力に依存しているでしょうか。それとも、システム化やチーム構築によって、さらなる成長が見込めるでしょうか。

例えば、個人でウェブサイト制作を請け負っている場合、あなたの作業時間には限界があります。しかし、制作会社として複数の人材を雇用できれば、より多くの案件を受注できるようになります。

また、本業の将来性も同様に考慮すべきです。現在の会社や業界の先行きはどうでしょうか。昇進や給与アップの可能性はあるでしょうか。これらの要素も、判断材料に含めるべきでしょう。

収入面だけで判断すると、長期的には後悔する選択をしてしまう可能性があります。目先の収入だけでなく、5年後、10年後を見据えた判断が求められるのです。

副業収入が本業を超えた場合の選択肢

副業の収入が本業を上回ったとき、あなたには主に3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の状況に最も適した道を選ぶことが大切です。

本業を継続し副業を拡大するメリット・デメリット

1つ目の選択肢は、本業を継続しながら副業をさらに拡大していく方法です。

この選択肢の最大のメリットは、安定性を確保しながら副業を成長させられる点です。会社員としての給与は一定の収入を保証してくれますし、社会保険や福利厚生などのセーフティネットも維持できます。また、本業で得られる人脈やスキル、情報が副業に活かせることもあります。

例えば、マーケティング会社に勤めながらSNSコンサルタントとして副業をしている場合、本業で最新のマーケティングトレンドに触れられることが、副業の質を高めることにつながるでしょう。

一方、デメリットとしては時間的・体力的な制約が大きいことが挙げられます。本業と副業の両方をこなすには、相当な時間管理能力と体力が必要です。また、本業の就業規則によっては、副業の拡大に制限がかかる可能性もあります。

具体的には、平日は夜遅くまで副業をこなし、週末もほとんど休めないという生活が続くと、心身の健康を損なうリスクがあります。また、本業のパフォーマンスが低下すれば、本業での評価にも影響するでしょう。

本業を辞め副業を本業化するメリット・デメリット

2つ目の選択肢は、思い切って本業を辞め、副業を本業として独立する道です。

この選択肢の最大のメリットは、時間の自由度が格段に上がることです。本業に費やしていた時間とエネルギーをすべて自分のビジネスに注ぐことができます。また、自分の裁量で仕事を選べるようになり、やりがいや成長機会も増えるでしょう。

例えば、これまで週末だけでウェブデザインの副業をしていた人が独立すれば、平日も含めて作業時間が確保でき、より多くの案件を受注できるようになります。また、自分の得意分野や興味のある案件に特化することも可能になります。

しかし、デメリットとして安定性の喪失が挙げられます。会社員としての固定給はなくなり、収入は完全に自分の営業力や市場状況に依存することになります。また、社会保険料の負担増や、融資を受ける際の信用力低下なども考慮すべき点です。

具体的には、会社員時代は会社が社会保険料の半分を負担してくれていましたが、独立すると全額自己負担になります。健康保険料や年金保険料だけでも、年間数十万円の負担増になる可能性があります。

両方を維持するバランス戦略

3つ目の選択肢は、本業と副業の両方を現状維持しながら、最適なバランスを模索する方法です。

この選択肢のメリットは、リスクを分散しながら両方の良いところを享受できる点です。本業からの安定収入と副業からの追加収入という二つの収入源を持つことで、経済的な安定性が高まります。また、本業と副業の相乗効果によって、キャリアの幅を広げることも可能です。

例えば、IT企業に勤めながらプログラミングスクールの講師を副業としている場合、本業での最新技術の知識が講師業に活かせますし、講師としての経験が本業でのコミュニケーション能力向上につながるといった好循環が生まれることもあります。

デメリットとしては、どちらも中途半端になるリスクがあることです。時間とエネルギーを分散させることで、本業も副業も十分なパフォーマンスを発揮できない可能性があります。また、長期的には心身の疲労が蓄積するリスクもあります。

この選択肢を選ぶ場合は、本業の労働時間を調整したり、副業の量をコントロールしたりするなど、持続可能な働き方を模索することが重要です。例えば、本業で時短勤務を選択したり、副業の案件を厳選して引き受けるなどの工夫が必要になるでしょう。

会社を辞めてもいい3つの条件

副業収入が本業を超えたからといって、すぐに会社を辞めるべきではありません。独立するには、いくつかの条件を満たしていることが望ましいでしょう。ここでは、会社を辞めても大丈夫と判断できる3つの条件を紹介します。

副業で月10万円以上を安定して稼いでいること

独立の第一条件は、副業で安定した収入を得られていることです。目安としては、最低でも月10万円以上を継続的に稼いでいることが望ましいでしょう。

なぜ月10万円以上かというと、これは多くの人にとって生活の基本的な費用(食費や光熱費など)をカバーできる金額だからです。もちろん、住んでいる地域や生活スタイルによって必要な金額は変わりますが、最低限の生活費を稼げることが独立の前提条件となります。

ただし、ここで重要なのは「安定して」という部分です。一度だけ10万円を稼いだのではなく、少なくとも半年から1年程度、コンスタントにその金額を稼げていることが重要です。これによって、その副業が一時的なブームや運に左右されない、持続可能なビジネスであることが証明されます。

例えば、フリーランスのライターとして活動している場合、特定のクライアントからの一時的な大型案件で月20万円稼いだとしても、それが継続する保証はありません。複数のクライアントから定期的に仕事を受注し、月平均で10万円以上の収入がある状態が理想的です。

1年間生活できる貯金があること

独立後、すぐに本業と同等の収入を得られるとは限りません。むしろ、収入が安定するまでには時間がかかることが多いものです。そのため、少なくとも1年間は生活できる貯金を持っていることが、安心して独立するための条件となります。

1年分の生活費とは、具体的にはどれくらいでしょうか。これは個人の生活スタイルによって大きく異なりますが、月々の固定費(家賃、光熱費、通信費、保険料など)に食費や交際費などの変動費を加えた金額の12倍と考えるとよいでしょう。

例えば、月々の生活費が25万円の場合、300万円の貯金があれば1年間は収入がなくても生活できる計算になります。もちろん、独立後も全く収入がないということは考えにくいですが、万が一の事態に備えて、このくらいの余裕を持っておくことが望ましいのです。

また、この貯金は純粋に生活費のためのものであり、事業拡大のための投資資金は別途考える必要があります。例えば、オフィスの賃貸料や機材の購入、広告宣伝費などは、この生活費とは別に準備しておくべきでしょう。

固定費を抑え身軽になること

独立する際には、できるだけ固定費を抑え、身軽な状態にしておくことが重要です。固定費とは、収入の多寡に関わらず毎月必ず発生する費用のことで、主に家賃、ローン返済、各種保険料などが該当します。

なぜ固定費を抑えることが重要かというと、独立後は収入の変動が大きくなる可能性が高いからです。月によって収入が大きく変わる中で、固定費が高いと資金繰りが厳しくなるリスクがあります。

具体的には、独立前に以下のような対策を考えるとよいでしょう。

まず、住居費の見直しです。可能であれば、より家賃の安い物件に引っ越すことも検討してみてください。また、マイホームを購入している場合は、住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えによって、月々の支払いを減らすことも一つの方法です。

次に、各種サブスクリプションサービスや会員費などの見直しです。使っていないサービスや、頻度の低いサービスは思い切って解約することで、月々の固定費を削減できます。

また、車の所有についても再考してみましょう。車のローンや保険料、維持費は意外と大きな固定費になります。公共交通機関や自転車、カーシェアリングサービスで代用できないか検討してみるのも一つの方法です。

例えば、月々の固定費が15万円から10万円に減れば、年間で60万円の支出削減になります。これは独立後の大きな余裕につながるでしょう。

会社を辞める前に考えておくべきこと

副業の収入が本業を超え、独立の条件も整ったように思えても、会社を辞める前にはいくつかの重要な検討事項があります。ここでは、独立前に冷静に考えておくべきポイントを解説します。

独立の成功率と現実的なリスク

独立・起業の世界では、成功率は決して高くありません。一般的に、新規事業の5年生存率は約30%と言われています。つまり、独立した人の約7割は、5年以内に事業を畳むか、別の道を選ぶことになるのです。

この現実を直視し、自分の副業が長期的に成功する可能性をできるだけ客観的に評価することが重要です。例えば、以下のような質問に正直に答えてみましょう。

「この副業の市場は今後も成長するか、それとも縮小するか」
「自分のスキルや提供するサービスに、代替が効かない独自の価値があるか」
「競合が増えた場合でも、顧客を維持できる強みがあるか」

例えば、特定のSNSプラットフォームに特化したコンサルタント業を副業としている場合、そのプラットフォームの人気が衰えれば、ビジネスも立ち行かなくなる可能性があります。一方、複数のプラットフォームに対応できるスキルを持ち、顧客のビジネス全体を理解した上でのコンサルティングができれば、環境変化にも適応しやすいでしょう。

また、独立後に直面する可能性のあるリスクも具体的に想定しておくべきです。例えば、主要クライアントの喪失、市場環境の急変、自身の病気やケガなどが考えられます。これらのリスクに対して、どのような対策を取れるかも事前に考えておきましょう。

会社員の安定性と独立の自由のトレードオフ

独立を考える際には、会社員としての安定性と、独立後の自由のトレードオフを理解することが重要です。

会社員の最大のメリットは安定性です。定期的な給与支払い、社会保険の会社負担、有給休暇、各種福利厚生など、多くの恩恵を受けることができます。特に、病気やケガで働けなくなった場合のセーフティネットも整っています。一方で、勤務時間や業務内容、報酬額などは会社によって決められており、自分の裁量で変更することは難しいでしょう。

対して独立後の最大のメリットは自由度の高さです。仕事の選択、時間の使い方、報酬の設定など、多くの面で自分の裁量が増えます。「朝型の自分に合わせて早朝から仕事をし、午後は趣味の時間に充てる」といった働き方も可能になります。

例えば、ウェブデザイナーとして独立した方の場合、会社員時代は上司の指示に従って案件を担当していましたが、独立後は自分の得意分野や興味のある案件を選んで受注できるようになりました。その結果、仕事の質が向上し、クライアントからの評価も高まったといいます。

しかし、この自由には責任が伴います。収入の変動リスクはもちろん、営業活動や経理事務など、会社員時代は会社が担ってくれていた業務もすべて自分で行う必要があります。また、病気やケガで働けない期間は収入がゼロになる可能性もあります。

このトレードオフを理解した上で、自分にとってどちらの働き方が合っているかを見極めることが重要です。安定を重視するなら会社員を続け、自由を求めるなら独立を選ぶという単純な図式ではなく、自分のライフスタイルや価値観、リスク許容度などを総合的に考慮して判断すべきでしょう。

円満退社の重要性

会社を辞める際には、円満に退社することの重要性を忘れてはいけません。なぜなら、退社後も元の会社とは何らかの形で関わる可能性が高いからです。

まず、独立後のビジネスにおいて、元の会社が顧客やビジネスパートナーになる可能性があります。特に同じ業界で独立する場合、元の会社の人脈やネットワークは貴重な資産となります。

例えば、マーケティング会社に勤めていた方が独立してコンサルタントになった場合、元の会社から仕事を紹介してもらったり、共同プロジェクトを組んだりする機会もあるでしょう。そのためには、退社時に良好な関係を維持しておくことが重要です。

また、万が一独立がうまくいかなかった場合に、元の会社や業界に戻る可能性も考慮すべきです。円満に退社していれば、再就職の際に元の会社からの推薦状をもらえたり、元同僚からの紹介を受けたりすることも可能です。

円満退社のためには、以下のようなポイントに気をつけましょう。

まず、十分な引継ぎ期間を設けることです。自分の担当業務を後任者にしっかりと引き継ぐことで、退社後も会社の業務に支障が出ないようにします。

次に、退職の意思は早めに伝えることです。一般的には1〜2ヶ月前には上司に相談するのが望ましいでしょう。突然の退職は会社側に迷惑をかけ、関係悪化の原因となります。

最後に、退職理由は前向きに伝えることです。「会社への不満」ではなく「自分のキャリアを広げるため」など、ポジティブな理由を伝えるようにしましょう。

円満退社は、独立後のビジネスチャンスを広げるだけでなく、万が一の際の保険にもなります。短期的な感情に流されず、長期的な視点で行動することが大切です。

社会保険や税金の取り扱いに注意

独立を考える際、意外と見落としがちなのが社会保険や税金の問題です。会社員と個人事業主では、これらの制度や負担額が大きく異なります。ここでは、独立前に知っておくべき社会保険と税金の基本知識を解説します。

本業と副業の社会保険の仕組み

会社員として働いている間は、健康保険、厚生年金、雇用保険などの社会保険料の半分を会社が負担してくれています。しかし、独立して個人事業主になると、これらの保険料は全額自己負担となります。

例えば、年収500万円の会社員の場合、社会保険料の本人負担は約75万円ですが、会社も同額を負担しているため、実質的な保険料は約150万円です。独立後は、この全額を自分で支払う必要があります。

特に国民健康保険と国民年金の保険料は、前年の所得に基づいて計算されるため、会社員最後の年に高収入だった場合、独立初年度の保険料負担が予想以上に大きくなることがあります。

また、会社員時代は当たり前のように受けられていた有給休暇や傷病手当金などの福利厚生も、個人事業主になると基本的には受けられなくなります。病気やケガで働けない期間は、収入がゼロになる可能性があることも念頭に置いておくべきでしょう。

独立前に、これらの社会保険料がいくらになるのかをシミュレーションしておくことをおすすめします。市区町村の窓口や年金事務所で相談すれば、具体的な金額を教えてもらえます。

住民税の通知方法と会社への配慮

住民税は前年の所得に基づいて計算され、通常は6月から翌年5月までの12回に分けて納付します。会社員の場合は「特別徴収」といって、毎月の給与から天引きされますが、個人事業主は「普通徴収」として自分で納付する必要があります。

ここで注意したいのは、会社を辞めた後も、前年の所得に基づく住民税の支払い義務は残るということです。特に、会社を辞めた直後の6月に新しい年度の住民税が確定すると、その通知が元の会社に送られることがあります。

これを避けるためには、退職時に住民税の納付方法を「普通徴収」に切り替える手続きを行うことが重要です。会社の経理担当者に相談し、市区町村の税務課に「給与所得者異動届出書」を提出することで対応できます。

この手続きを怠ると、元の会社に住民税の通知が届き、対応に手間をかけさせることになります。円満退社のためにも、この点には十分に配慮しましょう。

確定申告の注意点

個人事業主になると、毎年2月16日から3月15日までの期間に確定申告を行う必要があります。会社員時代は年末調整で完結していた税金の手続きですが、独立後は自分で所得を計算し、申告する必要があります。

特に初めての確定申告では、経費として認められる項目や必要な書類の準備など、わからないことが多いものです。税理士に依頼するか、最低でも税務署の無料相談を利用するなど、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

また、個人事業主は「青色申告」と「白色申告」のどちらかを選択できますが、記帳の手間はかかるものの、最大65万円の控除が受けられる青色申告を選ぶ方が税制上有利です。ただし、青色申告をするためには、開業後2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

確定申告の準備は、日々の記帳から始まります。収入と支出を正確に記録し、領収書やレシートなどの証拠書類を保管しておくことが大切です。専用の会計ソフトを利用すれば、記帳の手間を大幅に減らすことができます。

税金や社会保険の問題は複雑で、独立前にしっかりと理解しておかないと、思わぬ負担に驚くことになります。事前に専門家に相談するなどして、十分な準備をしておきましょう。

副業が本業を超えても会社を辞めない理由

副業の収入が本業を超えたとしても、すぐに会社を辞めない選択をする人も少なくありません。一見すると不合理に思えるかもしれませんが、そこには様々な理由があります。ここでは、収入面以外の要素も含めて、会社に残る選択をする理由を探ります。

収入の安定性の違い

副業の収入が本業を超えたとしても、その安定性は本業とは大きく異なることが多いです。会社員の給与は、基本的に毎月決まった日に決まった金額が支払われます。一方、副業の収入は月によって大きく変動することが一般的です。

例えば、フリーランスのデザイナーとして副業をしている場合、ある月は大型案件が重なって本業の2倍の収入があっても、翌月は案件がなくてゼロということもあり得ます。このような収入の波があるビジネスでは、年間トータルでの収入や平均月収で判断する必要があります。

また、副業の収入が一時的なブームや特殊な需要によるものである可能性も考慮すべきです。例えば、特定のSNSプラットフォームに関するコンサルティングが現在は人気でも、そのプラットフォームの人気が衰えれば、需要も減少する可能性があります。

このような不確実性を考慮すると、副業の収入が本業を超えたとしても、すぐに会社を辞めるのではなく、その状態が一定期間(例えば半年から1年)続くかどうかを見極めることが重要です。安定した収入基盤があってこそ、リスクの高い挑戦もできるのです。

メンタル面での安心感

会社員として働くことには、収入面だけでなく、メンタル面での安心感もあります。組織に所属しているという安心感や、同僚との人間関係、会社の看板を背負っているという社会的信用など、数字には表れない価値があるのです。

例えば、「会社員」という肩書きは、銀行融資やクレジットカードの審査、賃貸契約などで有利に働くことが多いです。これは、安定した収入があるという信用だけでなく、社会的に認知された組織に所属しているという信頼感によるものです。

また、会社という組織に所属していることで得られる人間関係や情報網も貴重な資産です。同僚との何気ない会話から得られる業界情報や、上司からのアドバイス、会社の研修で学べる知識など、独立すると得られにくいものも多いです。

さらに、独立すると全ての決断と責任を自分一人で背負うことになります。会社員時代は上司や同僚と相談しながら意思決定できましたが、独立後はすべて自分で判断する必要があります。この精神的負担は想像以上に大きく、メンタル面での疲労につながることもあります。

このようなメンタル面での安心感や組織に所属することのメリットを考慮すると、収入だけで判断するのではなく、総合的な幸福度や満足度で考えることが大切です。

時間と収入の関係性

副業の収入が本業を超えたとしても、そのために費やしている時間や労力も考慮する必要があります。単純に収入額だけを比較するのではなく、時間あたりの収入(時給換算)で考えることも重要です。

例えば、月給30万円の会社員が、副業で月40万円稼いでいるとします。一見すると副業の方が収入が高いように見えますが、会社での労働時間が週40時間、副業に費やす時間が週30時間だとすると、時給換算では会社員の方が高くなる可能性があります。

また、副業の収入が本業を超えている場合、それは本業の時間を削って副業に注力した結果かもしれません。この場合、会社を辞めて副業に専念しても、現在の副業収入以上に大幅な収入増は見込めない可能性があります。

一方で、本業を辞めることで空いた時間を全て副業に充てられれば、収入が飛躍的に伸びる可能性もあります。例えば、現在週末だけでウェブデザインの副業をしている人が独立すれば、平日も含めて作業時間が確保でき、より多くの案件を受注できるようになるかもしれません。

このように、時間と収入の関係性を分析し、独立後にどれだけの時間を確保でき、それによってどれだけの収入増が見込めるかを具体的に試算することが重要です。単純な収入比較だけでなく、時間効率や将来的な成長性も考慮した判断が求められます。

まとめ

副業収入が本業を超えた場合、会社を辞めるべきかどうかは一概に言えません。それぞれの状況や価値観によって最適な選択は異なります。

独立を考える際は、単純な収入比較だけでなく、収入の安定性や将来性、社会保険や税金の問題、メンタル面での安心感など、様々な要素を総合的に判断することが大切です。

また、独立前には十分な準備期間を設け、貯金を確保し、固定費を見直すなどのリスク対策を行うことも重要です。円満退社を心がけ、将来のビジネスチャンスや万が一の際の保険を残しておくことも忘れてはいけません。

あなたにとって最適な選択は何か、じっくりと考え、計画的に行動することで、より充実したキャリアを築いていけることでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次